アリスの部屋
レジオネラ属菌は入浴者の垢や浴槽水中の細菌で増殖する!
今回は、レジオネラ属菌は入浴者の垢や浴槽中の細菌で繁殖する!ということについてです。
レジオネラ属菌は自然環境では湿った土壌、池や沼、湖、河川などの淡水に細々と生息しています。
人工的な環境ではビルやホテルの空調冷却水、給水・給湯設備、循環式浴槽水、加湿器の水、噴水などから検出されています。
これらの人口水環境(水利用施設)には、土埃や補給水とともにレジオネラ属菌が混入すると考えられています。
入浴施設では入浴者の身体についたレジオネラ属菌が、そのまま持ち込まれたり、土埃とともに露天湯や貯湯槽に混入することが考えられます。
では、人口水環境(水利用施設)でレジオネラ属菌が定着し、増殖する要因は何でしょうか。レジオネラ属菌は、浴槽水中から検出されますが、
その水だけでは増殖しないと考えられています。浴槽水中に生息するほかの細菌(大腸菌群など)の代謝産物や入浴者の皮脂や垢などを栄養源として増えます。
また、細菌捕食性原虫(アメーバなど)に寄生して増殖することも知られています。
この「アメーバに寄生して増殖する」というレジオネラ属菌特有の性質が、入浴施設でレジオネラ症が多い最大の原因です。
細菌捕食性原虫の名前が示すようにアメーバは細菌を食べて栄養源にしています。
しかし、運悪くレジオネラ属菌を食べたアメーバは逆に、レジオネラ属菌がその体内で増殖するため殺されてしますのです。
一般的に老廃物→細菌→アメーバの間には、食物連鎖が成立しています。すなわち、①老廃物を栄養源として細菌は増え、そして、栄養源である老廃物は減る。
②細菌が増殖するとそれを餌とするアメーバが増えて、細菌は減る。③アメーバは細菌が減るとともに減少するが、その結果として老廃物が増えはじめ、①の状態に戻ります。
このように老廃物→細菌→アメーバは1本の鎖でつながっているわけです。
草→草食動物→肉食動物の関係に置き換えるとわかりやすいでしょう。
ところで、老廃物→細菌→アメーバで生じる食物連鎖を利用した浴槽水の浄化方法が、「生物浄化」です。ろ材に微生物を定着させたろ過器に浴槽水を通過させることで、入浴者の体から出る皮脂や垢などの老廃物を細菌に処理させます。次に細菌はアメーバの餌にすることで減少させるのです。
大腸菌群は老廃物を栄養源することで増殖しますが、アメーバに食べられ消化されてしますので、老廃物も大腸菌群も減少します。つまり、生物浄化は大腸菌群の処理には非常に有効なのです。
しかし、細菌がレジオネラ属菌の場合にはアメーバの餌になるどころか、逆に増殖します。つまり、生物浄化は、レジオネラ属菌の培養器のようになってしまうのです。
細菌捕食性原虫の一つである繊毛虫の中で増殖しているレジオネラ属菌を示しました。このようにレジオネラ属菌と原虫(アメーバ)との共存関係を断ち切ることが、
レジオネラ症防止には重要です。原虫を除去するには、ろ過器の逆洗と消毒、配管の洗浄を行うことが大切です。それがレジオネラ症の重要な防止対策になるわけです。
また、換水して「老廃物をためないこと」は、最も基本的なレジオネラ症防止対策です。老廃物がなければ細菌もアメーバも生きていけないわけです。
さて、レジオネラ属菌はバイオフィルム(生物膜いわゆる「ぬめり」)を形成すると報告されており、この中ではレジオネラ属菌は増えやすいと考えられています。
一般にバイオフィルムは、3段階の過程を経て生成されます。まず、水に溶けているタンパクやイオンなどの老廃物は浴槽水と接している浴槽壁や循環水の流れるパイプの壁などに吸着します。
次に、レジオネラ属菌やアメーバなどの微生物はその壁に付着します。最後に、付着した微生物は壁に付着している老廃物を栄養源として増殖を開始します。増殖中にレジオネラ属菌は多糖体ポリマー(ムコ多糖)を分泌し、フィルム状物質を形成するのです。その結果、レジオネラ属菌はムコ多糖に覆われた状態で壁に定着してしまいます。
このような状態になると、塩素などの殺菌材は菌に直接届きにくいことになります。つまり、いくら消毒してもレジオネラ属菌が浴槽水から検出されることになります。
殺菌を免れたバイオフィルム中の菌が浴槽水に供給されるからです。
そのような理由で、浴槽壁や配管壁に付着するバイオフィルムを物理的・化学的に洗浄し、取り除くことがレジオネラ症を防止するためには大切です。
レジオネラ属菌検査 税込み5,500円
浴槽水4項目検査 税込7,700円
原水等6項目検査 税込8,250円
安く・早く・正確にをモットーに行っております。