アリスの部屋
日常管理のしかた
今回は、レジオネラ属菌の防止対策、日常の管理のしかたについてです。
①ろ過装置の運転確認
・ろ過装置の圧力計を確認し、ろ過圧力が通常圧力に比べて異常がないかをチェックします。また、ろ過砂の逆洗時の圧力もときどき確認して、異常がないかをチェックします。
・各種ポンプ類の運転時の電流値をチェックするとともに、異常音、振動、水漏れなどもチェックします。
・殺菌剤(塩素)やろ過補助剤(PAC)の貯留タンクの残量を確認し、少ない場合は原液を補充します。
・2種類以上の薬品を使用している場合は、補充前に必ず薬品と貯留槽を確認し、別の薬品を誤って補充しないようにします。
有毒なガスが発生することもあります。
②ろ過装置の逆洗
砂ろ過方式の場合、ろ過砂の逆洗が必要です。ろ過装置が自動の場合はタイマー設定して行い、手動の場合は管理者の手により定期的に行います。
逆洗は1週間に1回は行うことになっていますが、実際は、毎日か2~3日に1回行い、汚れを排出するように指導しています。
③ヘアキャッチャーの清掃
ヘアキャッチャーの清掃を毎日1回行います。ヘアキャッチャーの内部スクリーンに多くのごみを付着させたままにしておくと、ろ過タンクと同様にレジオネラ属菌の供給源になってしまします。ろ過能力の減少やポンプの故障の原因にもなります。
清掃は内部スクリーンのゴミの除去だけでなく、ヘアキャッチャー内部も清掃し、塩素系薬剤の殺菌処理を行うことも大切です。
④浴槽水の残留塩素濃度の管理
管理要領では、浴槽水中の残留塩素濃度を1日2時間以上0.2~0.4mg/Lに保つことが望ましいとあります。実際には残留塩素が常に0.4~1.0mg/Lあることを目標に指導しています。
0.2mg/L程度では、汚れの負荷が変動すればすぐに0になってしまします。1mg/Lを超える濃度では、においや肌への刺激など、入浴者への影響が出るようになりますので、細かな管理が必要です。
入浴剤や薬草を使用している場合は塩素の消費量が変わり、残留塩素濃度が維持しにくくなることがありましので、注意が必要です。
特にアルカリ温泉を使用している場合、同じ濃度の残留塩素でも殺菌緑が弱くなり、殺菌に要する時間も長くなりますので、常時残留塩素濃度があるように管理しなければなりません。
残留塩素濃度は浴槽ごとに2時間に1回測定し、日誌に記録します。
⑤浴槽水の水質分析
浴槽水は濁度、過マンガン酸カリウム消費量、大腸菌、レジオネラ属菌について定期的に分析し、衛生管理が適切におこなわれているか確認する必要があります。
毎日完全換水型循環浴槽水は1年に1回以上、連日使用型循環浴槽水は1年に2回以上水質分析を行い、記録を3年以上保存しなければなりません。
⑥ろ過装置、配管、浴槽の洗浄・消毒
毎日完全換水型循環浴槽では、毎日完全換水し、1カ月1回以上の消毒、連日使用型循環浴槽水は1週間に1回以上完全換水して消毒・清掃しなければなりません。浴槽内は換水時に清掃を行い、塩素系薬剤で消毒することができます。しかし、ろ過装置や配管内は、直接行うことが困難な場所です。つまり、有機物が留まり、多数の微生物が繁殖し、生物膜が発生しやすい場所です。
消毒の方法は、一般に高濃度塩素消毒と二酸化塩素消毒が行われています。殺菌効果やコストを考慮すると、両者を併用するのがよいでしょう。
・高濃度塩素消毒
5~10mg/Lの塩素を含んだ浴槽水を1~2時間を循環させます。塩素は微生物の細胞膜を破壊して、たんぱく質や多糖類を溶出させるので、お湯が濁ったり、発砲したりすることがあります。作業中は臭気が発生しますので、喚起は十分に行います。
作業終了後は、残留塩素濃度が高い場合は中和または希釈して排水します。消毒は1週間に1回以上行います。
・二酸化塩素消毒
高濃度塩素消毒でも完全にバイオフィルムが除去できない場合があります。そのときは殺菌力や浸透力の強い二酸化塩素消毒が有効です。
塩素濃度は使用頻度により2~10mg/L程度で行い、1週間ないし1カ月に1回程度は行います。作業終了後は中和し排水します。
安全快適で衛生的な浴槽水を、常に安定した状態で給水するためには、その施設にあったろ過設備を設置し、管理者が、ろ過器および全体システムを熟知のうえ管理することです。そして、ろ過装置や殺菌装置の能力を100%発揮させることです。
水質を常に把握し、清掃・消毒を行うための労力は惜しまないようにしましょう。
レジオネラ属菌検査 税込み5,500円
浴槽水4項目検査 税込み7,700円
原水等6項目検査 税込み8,250円
安く・早く・正確にをモットーに行っております。